タイで法人銀行口座を開設する方法|必要書類・銀行の選び方・注意点を2026年最新で解説

※ 本記事の日本円換算は1バーツ=約5円(2026年3月時点)で計算しています。為替レートにより変動します。
タイで会社登記が完了したら、次にやるべきは法人銀行口座の開設です。口座がなければ資本金の送金も取引先への支払いもできず、事業をスタートできません。
しかし、タイの法人口座は個人口座とはルールが全く異なります。ATMカードが発行されない、サイン権者しか手続きできない、銀行によって必要書類が違う——。ネット上の情報も個人口座と法人口座が混在していて、法人口座に特化した情報はなかなか見つかりません。
この記事では、実際にカシコン銀行で法人口座を開設し、7年以上運用している筆者の実体験をもとに、法人口座の開設方法・銀行の選び方・開設後の運用まで、2026年最新の情報で解説します。会社設立の全体的な手順は「タイで会社設立する手順と流れ」をご覧ください。
タイで法人銀行口座を開設できるタイミングと条件
法人口座を開設できるのは、商務省での会社登記が完了し、登記簿が発行された後です。ただし、開設手続きができるのは会社登記簿に役員として名前が載っている人のみです。口座のサイン権者として登録した役員が、その口座からの出金や各種変更手続きを行う権限を持ちます。
WP(ワークパーミット)の取得前でも開設できる?
銀行や支店によって対応が分かれます。WPなしでも開設に応じてくれるケースもありますが、多くの銀行ではWPの提示を求められるため、実務上はWP取得後に開設するのが確実です。
なお、先にタイ人のサイン権者で口座を開設し、後から日本人にサイン権を変更する方法もありますが、新旧両方のサイン権者が銀行に出向く必要があり、手続きに手間がかかります。日本人にサイン権を移してから開設する方がスムーズです。
筆者はWP取得後にカシコン銀行で法人口座を開設しました。ローカル会計事務所(現地パートナー)に勧められてカシコンを選び、書類準備も同行もサポートしてもらったため、手続き自体は非常にスムーズでした。ビザ・WP取得の詳しい手順は「タイのビザ・ワークパーミット取得ガイド」で解説しています。
法人口座の開設に必要な書類
法人口座の開設に必要な書類は銀行によって異なりますが、一般的に求められるのは以下の書類です。
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| 会社登記簿 | 発行日の期限指定あり(通常1か月以内) |
| 会社定款のコピー | 基本定款および付属定款 |
| 株主名簿 | 最新のもの |
| 社印登録証 | Company Seal Registration |
| 取締役会議事録 | 口座開設の意思決定・サイン権者・開設先銀行を記載 |
| サイン権者のパスポート | 原本を持参 |
| ワークパーミット | 銀行によって要否が異なる |
※ 銀行・支店によって追加書類を求められるケースがあります。事前に開設予定の支店に確認してください。
これらの書類はほぼすべてタイ語で作成する必要があります。設立手続きを依頼した会計事務所や法律事務所に書類準備を任せるのが確実です。筆者もすべてローカル会計事務所に準備してもらいました。
タイの主要銀行3行を法人口座の視点で比較
日本人がタイで法人口座を開設する場合、現実的な選択肢はカシコン銀行、バンコク銀行、アユタヤ銀行の3行です。それぞれ法人口座の観点から特徴を比較します。
カシコン銀行(KBank)
タイ国内の取引に強く、日系企業の利用者が非常に多い。必要書類が比較的少なく、開設手続きがスムーズ。オンラインバンキングの使い勝手が良く、法人口座もブラウザから送金・残高確認が可能。日本語対応支店あり(スクンビット・ソイ33等)。筆者も7年以上メイン口座として利用中。
迷ったらまずカシコン
バンコク銀行(Bangkok Bank)
タイ最大の商業銀行で信頼性が高い。書類チェックはやや厳格だが、その分セキュリティ面は安心。インターネットバンキングでタイ国外からも操作可能なため、日本とタイを行き来する方に向いている。シーロム本店にジャパンデスク(日本語窓口)あり。
海外送金が多い企業におすすめ
アユタヤ銀行(クルンシィ / Krungsri)
三菱UFJ銀行の傘下で、日本人には安心感がある。日本語デスクがバンコク4支店+シラチャにあり、言語面の不安が少ない。個人口座は三菱UFJから仮口座開設が可能だが、法人口座は現地での手続きが必要。
日本語サポート重視の方に
どの銀行を選んでも基本的な機能に大きな差はありません。迷ったらカシコン銀行かバンコク銀行のどちらかを選べばまず問題ないでしょう。筆者はローカル会計事務所の勧めでカシコンを選びましたが、オンラインバンキングの使い勝手が非常に良く、メイン口座として不自由なく使い続けています。なお、タイでは銀行間の送金手数料が基本無料のため、必要に応じて後から別の銀行にも口座を開設することも簡単です。
法人口座の開設手順【5ステップ】
法人口座の開設は、以下の5ステップで進みます。
① 開設する銀行・支店を決める
前述の3行から選びます。日本語対応支店がある銀行を選ぶと、やり取りがスムーズです。設立手続きを依頼した会計事務所に相談すれば、実績のある銀行・支店を紹介してもらえます。
② 必要書類を準備する
H2②で紹介した書類を揃えます。取締役会議事録の作成や登記簿の最新版取得など、タイ語の書類が中心なので、会計事務所に準備を依頼するのが現実的です。
③ サイン権者が支店に来店して申請
法人口座の開設は、サイン権者本人が銀行の支店に来店する必要があります。パスポート原本は必須です。会計事務所のスタッフが同行してくれるケースも多いので、言語に不安がある方は同行を依頼しましょう。
④ 書類審査・口座開設
書類に問題がなければ、即日〜数日で口座が開設されます。通帳が発行され、口座番号が確定します。
⑤ オンラインバンキングの登録
口座開設と同時に、オンラインバンキングの登録も必ず済ませてください。これをやらないと、送金や残高確認のたびに窓口に行くことになります。法人口座の日常的な操作はオンラインバンキングがメインになるため、開設時に一緒に設定するのが鉄則です。
法人口座の開設は、設立手続きを依頼した会計事務所に一緒にサポートしてもらうのが最もスムーズです。書類準備から銀行への同行、オンラインバンキングの初期設定まで対応してくれるところが多いです。
法人口座と個人口座の違い【知らないと困る5つのポイント】
タイの法人口座には、個人口座とは異なるルールがいくつかあります。設立直後に戸惑わないよう、事前に押さえておきましょう。
① ATM/デビットカードは発行されない
タイの法人口座には、個人口座のようなATMカードやデビットカードは発行されません。現金を引き出す場合は、サイン権者が身分証明書・社判・通帳の原本を持って銀行窓口に行く必要があります。ただし、実務上はオンラインバンキングでの送金がメインになるため、窓口での現金出金が頻繁に発生することはありません。
② 法人クレジットカードの発行は難しい
法人クレジットカードは存在しますが、発行には決算書の提出が求められます。設立直後の会社では審査に通ることはほぼ不可能です。ただし、タイでは送金やQRコード決済が非常に普及しているため、クレジットカードがなくてもビジネス上ほとんど困ることはありません。
③ 入金は誰でもできるが、出金はサイン権者のみ
法人口座への入金は、口座番号がわかれば誰でも可能です。顧客からの売上入金や資本金の払い込みなどは口座番号を伝えるだけで完了します。一方、出金や送金ができるのはサイン権者として登録された役員のみです。
④ タイ国内の銀行間送金手数料はゼロ
タイでは、異なる銀行間の国内送金でも手数料が基本的に無料です。カシコン銀行からバンコク銀行への送金も0バーツ。日本とは大きく異なるポイントで、取引先や従業員が別の銀行を使っていてもコストを気にする必要がありません。
⑤ オンラインバンキングが実質必須
ATMカードがない法人口座では、送金・残高確認・取引明細の確認はすべてオンラインバンキングで行います。経理代行会社への明細共有にもオンラインバンキングが必要です。口座開設時に必ずセットアップしましょう。月次経理の詳細は「タイで経理代行を外注すべき理由」で解説しています。
カシコン銀行のオンラインバンキングで法人口座を運用する実体験
筆者はカシコン銀行の法人口座を7年以上利用しています。日常的な口座操作の実態をお伝えします。
ほぼすべてブラウザ上のオンラインバンキングで完結
カシコン銀行では、法人口座向けのオンラインバンキングがブラウザ上で提供されています。個人口座で人気のスマホアプリ「K PLUS」は法人口座には非対応(タイ人個人向けのみ)ですが、ブラウザ版のオンラインバンキングは普通に使いやすく、日常業務で困ることはありません。
筆者が日常的に使っている機能は、国内送金(取引先・従業員への支払い)、残高確認、取引明細の確認・ダウンロードの3つです。経理代行を担当するローカル会計事務所(現地パートナー)には、月末に明細データを共有するだけで月次の経理処理が進みます。
窓口に行くのは年に1回程度
オンラインバンキングを使い始めてからは、銀行の窓口に行く頻度は年に1回程度まで減りました。年に一度、前年分のBank Statement(銀行取引明細証明)を窓口で発行してもらう必要があり、これは監査や決算に関連する手続きです。それ以外で窓口に足を運ぶことはほとんどありません。
法人口座と聞くと「窓口通い」のイメージがあるかもしれませんが、タイではオンラインバンキングが非常に発達しています。カシコン銀行の法人向けオンラインバンキングは7年使っていてトラブルもなく、ほぼすべてPC上で完結しています。口座開設時にオンラインバンキングを同時に登録しておくことが、快適な法人口座運用の第一歩です。
タイの法人口座開設でよくある質問
Q. WPがなくても法人口座を開設できる?
銀行・支店によります。WPなしでも対応してくれるケースはありますが、確実ではありません。スムーズに進めたいならWP取得後の開設がおすすめです。
Q. 日本にいながらタイの法人口座を開設できる?
法人口座は原則としてタイ現地での手続きが必要です。サイン権者が銀行支店に来店しなければなりません。完全にリモートでの開設は現時点では難しいのが実情です。
Q. 口座開設にいくらかかる?
口座開設自体は無料〜数百バーツ程度です。オンラインバンキングの登録も基本的に無料です。初回の最低預入金額は銀行によって異なりますが、数千バーツ程度が一般的です。
Q. 法人口座から日本への海外送金はできる?
可能です。ただし、海外送金には送金手数料・為替手数料がかかります。大口の送金や定期的な送金が必要な場合は、事前に銀行の法人担当に相談しておくとスムーズです。
Q. 口座を複数の銀行に持てる?
はい、問題ありません。事業の成長に合わせて別の銀行にも口座を開設する会社は多いです。タイでは銀行間の送金手数料が無料なので、複数口座の管理も負担になりません。
Q. 会社設立と口座開設をまとめて依頼できる?
はい。多くの会計事務所・法律事務所では、会社設立の手続きと口座開設のサポートをセットで提供しています。書類準備から銀行への同行まで対応してもらえるので、設立時にまとめて依頼するのがおすすめです。費用の全体像は「タイで会社設立にかかる費用」をご覧ください。
まとめ:タイで法人銀行口座を開設するポイント
タイの法人口座は、WP取得後に開設するのが最も確実です。銀行はカシコン銀行またはバンコク銀行を選べば間違いありません。
法人口座にはATMカードが発行されないため、オンラインバンキングの登録は口座開設時に必ず同時に行ってください。カシコン銀行のブラウザ版オンラインバンキングなら、送金・残高確認・明細取得がすべてPC上で完結します。
書類準備や銀行への同行は、設立手続きを依頼した会計事務所にまとめてサポートしてもらうのがスムーズです。
→ タイ進出の全体像を知りたい方は「タイ進出の準備やることリスト」もご覧ください。
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