タイで会社設立時の資本金はいくら必要?|200万バーツの根拠・決め方・節税を2026年最新で解説

※ 本記事の日本円換算は1バーツ=約5円(2026年3月時点)で計算しています。為替レートにより変動します。
「タイで会社を作るには資本金いくら必要?」「200万バーツって本当?」——タイ進出を検討する際、費用と並んで最初に気になるのが資本金の問題です。
結論から言うと、一般的な中小企業がタイに進出して日本人が働く場合、外国人1人あたり200万バーツ(約1,000万円)の払込資本金が必要です。これは法律上の「最低資本金」ではなく、ワークパーミット(労働許可証)を取得するための実務上の条件です。
本記事では、タイで実際に資本金400万バーツで会社を設立・運営してきた筆者が、200万バーツの根拠、資本金の決め方、500万バーツ以下で受けられる法人税の軽減措置まで、中小企業・個人起業家の視点で解説します。
タイの会社設立で必要な資本金|基本ルールを整理
まず、タイにおける資本金のルールを整理します。会社の種類によって最低資本金の扱いが異なります。
| 会社の種類 | 最低資本金 | 円換算(×5) |
|---|---|---|
| タイ企業(外資50%未満) | 法律上の規定なし | — |
| 外資企業(外資50%以上) | 200万バーツ以上 | 約1,000万円〜 |
| FBL取得企業(規制業種で外資過半数) | 300万バーツ以上 | 約1,500万円〜 |
ここで重要なのは、タイ人過半数の会社(タイ企業扱い)の場合、法律上の最低資本金はないという点です。しかし、だからといって資本金10万バーツで設立すればいいかというと、そうではありません。
日本人がタイで働くにはワークパーミット(WP)の取得が必須で、そのWP取得条件として「外国人1名あたり200万バーツの払込資本金」が求められます。この条件が、実質的な最低ラインを決めています。
外資規制との関係について詳しくは「タイの外資規制と外国人事業法」で解説しています。
なぜ「200万バーツ」なのか?|ワークパーミットとの関係
タイで外国人が合法的に働くには、ワークパーミット(労働許可証)が必要です。そしてWPの取得条件として、以下の2つが同時に求められます。
① 外国人1名あたり、払込資本金200万バーツ
② 外国人1名あたり、タイ人従業員を4名雇用
つまり、日本人が1人で起業する場合は最低200万バーツ、2人体制なら400万バーツ、3人なら600万バーツ……と、外国人の人数に比例して必要な資本金が増えていきます。
人数別の資本金シミュレーション
| 外国人の人数 | 必要な資本金 | 円換算(×5) | タイ人雇用義務 |
|---|---|---|---|
| 1名 | 200万バーツ | 約1,000万円 | 4名 |
| 2名 | 400万バーツ | 約2,000万円 | 8名 |
| 3名 | 600万バーツ | 約3,000万円 | 12名 |
資本金200万バーツは「法律上の最低資本金」ではなく、「WP取得のための実務上の条件」です。タイ人過半数の会社でも、日本人が働くなら同じ条件が適用されます。また、日本人の最低給与として月額50,000バーツ以上が必要な点にも注意してください。なお、BOI(タイ投資委員会)の奨励を受けた企業はこの条件が緩和される場合があります。
資本金を500万バーツ以下にすると法人税が安くなる|SME軽減税率
タイでは、中小企業(SME)に対して法人税の軽減税率が適用されます。この制度を活用するためには、払込資本金が500万バーツ以下であることが条件の1つです。
SME軽減税率の適用条件
以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
① 会計年度末時点で払込資本金が500万バーツ以下
② 年間の商品販売・サービス提供による収入が3,000万バーツ以下
SME軽減税率と通常税率の比較
| 純利益 | SME軽減税率 | 通常税率 |
|---|---|---|
| 30万バーツ以下 | 免税(0%) | 20% |
| 30万超〜300万バーツ | 15% | 20% |
| 300万バーツ超 | 20% | 20% |
具体的にどれくらい節税できるか
例えば、年間の純利益が200万バーツの会社の場合を計算してみます。
| SME(軽減税率) | 通常税率(一律20%) | |
|---|---|---|
| 30万バーツ以下の部分 | 0バーツ | 60,000バーツ |
| 30万超〜200万バーツの部分 | 255,000バーツ | 340,000バーツ |
| 合計 | 255,000バーツ | 400,000バーツ |
この例では年間145,000バーツ(約72.5万円)の節税になります。利益が少ないうちほど効果が大きく、純利益30万バーツ以下なら法人税がゼロです。
📝 筆者の実体験
筆者の会社は資本金400万バーツで設立しており、500万バーツ以下の条件を満たしています。SME軽減税率の恩恵は実際に受けており、特に会社設立初期の利益が小さい時期には大きな助けになりました。資本金は「とりあえず大きくしておく」のではなく、500万バーツ以下に収まるかどうかを意識して決めるべきです。
資本金の決め方|3つの判断基準
では、実際に資本金をいくらに設定すればよいのか。判断基準は大きく3つあります。
① 外国人の人数 × 200万バーツ
最も基本的な計算式です。日本人が1人で起業するなら200万バーツ、2人なら400万バーツが最低ラインになります。これはWP取得の必須条件なので、下回ることはできません。
② 事業に必要な初期資金
WPの条件とは別に、事業開始に必要な運転資金も考慮する必要があります。オフィスの敷金、機材、人件費、仕入れなど、事業が軌道に乗るまでの資金が資本金で賄えるかどうかも重要な観点です。
③ SME軽減税率のメリットを受けたいか
前述の通り、資本金500万バーツ以下ならSME軽減税率を受けられます。外国人3名(=600万バーツ)以上の体制を想定している場合は、このメリットを受けられなくなるため、必要最小限の人数で始めることも検討に値します。
📝 筆者の実体験
筆者の場合、日本人2名体制でスタートする予定だったため、200万バーツ×2名=400万バーツが必要でした。この金額は設立を依頼したローカルの会計事務所に相談して決めました。結果的に500万バーツ以下に収まり、SME軽減税率も適用されているので、この判断は正解でした。自分で悩むより、設立を依頼する専門家に相談して決めるのが確実です。
資本金の払い込みルール|25%ルールと銀行証明
タイの会社設立では、資本金の払い込みに関していくつかのルールがあります。
① 登記時に最低25%の払い込みが必要
会社設立の登記申請時に、登録資本金の最低25%を払い込む必要があります。つまり、資本金400万バーツの場合は100万バーツを登記時点で払い込んでおく必要があるということです。残りの75%は後日払い込むことができます。
ただし、WP取得の条件となる200万バーツ×外国人数は「払込資本金」で判定されます。登記資本金ではなく実際に払い込んだ金額が基準になるため、WPを取るタイミングまでに必要額を払い込んでおく必要があります。
② 資本金の額や株主構成によって銀行残高証明が必要
以下のいずれかに該当する場合、設立登記後15日以内に、株主からの資本金払い込みを証明する銀行残高証明書を商務省に提出する必要があります。
・資本金が500万バーツを超える場合
・タイ人株主がいる場合(51%ルールでの設立を含む)
・外国人株主が100%の場合
つまり、51%ルールで設立する一般的なケースでも銀行残高証明は必要になります。設立を依頼する専門家の指示に従い、事前に書類を準備しておきましょう。
③ 2026年からタイ人株主の出資証明がさらに厳格化
2026年1月に施行されたDBDの新規則により、外国人株主がいる会社のタイ人株主は、出資金の原資を証明する銀行口座の取引明細(3か月分)の提出が求められるようになりました。これはノミニー(名義貸し)対策の一環で、タイ人株主が本当に自分のお金で出資しているかをチェックするための措置です。
この規制強化により、形式的にタイ人の名義を借りて会社を設立する「ノミニー」は非常に難しくなっています。資本金の設計と株主構成は、信頼できるパートナーと設立前に十分に話し合っておく必要があります。詳しくは「タイの外資規制と外国人事業法」をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 資本金は全額を現金で用意しないとダメ?
いいえ。登記時に必要なのは登録資本金の25%です。資本金400万バーツの場合、登記時に100万バーツを払い込めば登記は可能です。ただし、WP取得時には200万バーツ×外国人数の「払込資本金」が条件になるため、WP申請までに必要額の払い込みを完了しておく必要があります。
Q. 資本金は後から増やせる?(増資)
はい、増資は可能です。事業の拡大に伴って外国人を追加で雇用する場合(WP追加取得のため)や、取引先の信用力向上のために、設立後に資本金を増やすケースは珍しくありません。増資には株主総会の決議と登記手続きが必要で、費用・手間は発生しますが、特別なハードルはありません。ただし、500万バーツを超える増資をすると、SME軽減税率の適用を受けられなくなる点には注意してください。
Q. 資本金500万バーツを超えると何が変わる?
主に2つの影響があります。① SME軽減税率の適用外になり、法人税率が一律20%になります。② 設立登記後の銀行残高証明の提出に加え、追加の行政手続きが発生する場合があります。中小規模で進出する場合は、500万バーツ以下に収めるメリットが大きいです。
まとめ|資本金は「人数」と「節税」で決める
この記事のポイント
✅ 外国人1名あたり200万バーツの払込資本金がWP取得の条件(BOI企業は条件が異なる)
✅ タイ人過半数の会社でも、日本人が働くなら200万バーツ×人数が必要
✅ 資本金500万バーツ以下ならSME軽減税率で法人税を節税できる
✅ SME軽減税率では純利益30万バーツ以下が免税(0%)、300万バーツ以下が15%
✅ 登記時の払い込みは最低25%でOK(ただしWP取得までに全額払込が必要)
✅ 51%ルールでの設立でも銀行残高証明は必要。2026年からさらに厳格化
✅ 迷ったら設立を依頼する専門家に相談して決めるのが確実
資本金の設定は、会社設立のなかでも最初に決める重要な判断です。「外国人の人数×200万バーツ」を基本ラインに、500万バーツ以下でSME軽減税率を受けられるかどうかを意識して決めましょう。
費用の全体像については「タイで会社設立にかかる費用」、設立の手順については「タイで会社設立する手順と流れ」もあわせてご覧ください。
→ タイ進出の全体像を知りたい方は「タイ進出の準備やることリスト」もご覧ください。
📋 タイで会社設立にかかる費用(内訳と依頼先別の相場)
📋 タイで会社設立する手順と流れ(登記ステップ・必要書類・期間)
📋 タイの外資規制と外国人事業法(51%ルール・規制業種・対処法)
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