タイ法人口座開設|必要書類・銀行審査・開設手順【2026年】

タイで設立した会社の法人口座は、会社登記が終われば自動的に開設できるものではありません。銀行は会社書類、株主・取締役・署名権者、事業内容、資金源、取引目的などを確認し、口座開設の可否を個別に審査します。

制度・銀行案内確認日:2026年7月24日

先に結論

必要書類と来店者を銀行・支店へ事前確認し、発行期限内の会社登記証明、株主名簿、署名権者の本人確認書類を揃えて申請します。「外国人は必ずワークパーミットが必要」「即日開設できる」「国内送金はすべて無料」と一律に判断しないことが重要です。

この記事の対象

タイで登記した非公開株式会社(Company Limited)が、タイ国内で事業用のTHB口座を開く場合を中心に説明します。海外で登記した会社がタイに非居住者口座を開く場合は、口座種類、開設場所、認証・領事確認済み書類などが異なります。

タイ法人口座開設の要点

確認項目 実務上の要点 先に決めること
会社の状態 タイで会社登記を完了し、最新の会社書類を取得する 登記直後か、事業開始後か
口座種類 普通預金、当座預金、外貨預金は機能・最低預入・書類が異なる 送金、給与、決済、海外取引の用途
署名・承認 会社を拘束する取締役と、出金・送金の署名権者を区別する 単独署名か複数署名か
KYC・CDD 銀行が実質株主、事業実態、資金源、取引目的等を審査する 想定入出金、主要取引国、資金の出所
利用者権限 オンラインバンキングの作成者・承認者・閲覧者を設定する 誰が入力し、誰が承認するか

タイ中央銀行は、法人口座の開設で会社登記証明、設立書類、株主名簿、会社関係者の記録等が確認されると説明しています。高リスクと判断された場合は、事業内容、収入・資産の源泉、取引目的、登記住所・事業所の公共料金証明など、追加の確認が行われることがあります。

会社設立の工程全体はタイ会社設立の手順と必要書類、登録資本金と払込の違いはタイ会社設立の資本金ガイドで確認してください。

法人口座の一般的な必要書類

提出物は銀行、支店、口座種類、会社の設立時期、株主・署名権者の構成によって変わります。次の一覧は準備の出発点です。最終的には申請予定の銀行から案件別チェックリストを受け取ってください。

書類・情報 確認ポイント 銀行公式案内の例
会社登記証明書 取締役・署名条件・事業目的を確認。発行期限に注意 KBankは3か月以内、Bangkok Bankの当座預金は1か月以内
事業目的の別紙 登記証明書に添付された目的を含める KBankが会社書類として明記
設立・変更登記書類 会社印を署名条件に使う場合はBor.Or.Jor.3/4と印章原本等を確認 KBank、Bangkok Bankが案内
株主名簿 最新のBor.Or.Jor.5と実質株主情報を揃える KBankは15%以上保有者の本人情報も確認
取締役会議事録・決議 開設銀行、口座種類、署名権者、オンライン利用者等を記載 Bangkok Bankの当座預金・BIZ iBankingで明記
パスポート・本人確認書類 取締役、出金署名権者、主要株主、管理者等の対象範囲を確認 KBankは外国人の有効なパスポートを案内
委任状 会社の代表署名者と出金署名権者が異なる場合等に使用 KBankは30THB印紙、Bangkok Bankも該当時の委任状を案内
事業・資金源の補足資料 契約書、請求書、事業所資料、株主の資金源、想定取引等 KYC・CDDにより追加提出となる場合がある
登記直後の会社は追加書類に注意

KBankは、登記から1か月未満の法人について、口座開設申込書へ署名した口座名義人等の過去6か月分の口座明細を追加書類として案内しています。設立直後だから書類が少ないとは限りません。

外国人取締役・ワークパーミットの考え方

外国人の関係者には、有効なパスポートと本人確認が求められます。ただし、タイ法人の口座開設について、すべての銀行・口座でワークパーミットが一律必須とは公式案内から確認できません。銀行、支店、口座・付帯サービス、署名者の在留状況によって追加書類が変わるため、渡航や予約の前に確認します。

「誰が支店へ行くか」は署名構成で変わる

KBankの現行案内では、会社書類の提出者と会社を拘束する署名権者、出金・支払の署名権者を分けています。一定の署名権者はK PLUSまたは支店で15日以内に本人確認できますが、出金・支払の署名権者は署名見本の登録のため支店での本人確認が必要とされています。

したがって、「取締役全員が同時に来店」「日本から完全リモート」「タイ人取締役で先に開設し後から変更」のいずれも一般化できません。会社登記証明の署名条件と、銀行へ登録する出金条件を示して確認してください。

WPと法人口座を混同しない

個人口座の外国人向け条件、法人クレジットカードの条件、タイ法人の預金口座条件は別です。たとえばBangkok Bankの法人カードは外国人カード保有者のWPや過去の財務諸表等を案内していますが、それを法人口座の一律条件へ置き換えることはできません。

Non-Bビザ・WPの取得条件はワークパーミット必要書類・取得条件ガイド、申請支援はビザ・ワークパーミットサポートをご覧ください。

銀行は「おすすめ順位」ではなく利用条件で比較する

銀行選びでは、知名度だけでなく、必要な口座種類、最低預入、外国人署名者の本人確認、海外送金、オンライン承認、給与・PromptPay、料金、利用する支店の対応を比較します。

公式情報で比較できる項目 KBankの例 Bangkok Bankの例
普通・当座預金 法人普通預金・当座預金を案内 普通預金・当座預金・外貨預金等を案内
最低預入 法人普通預金・当座預金は開設時最低額なし 法人当座預金は20,000THB
登記証明の発行期限 3か月以内 当座預金は1か月以内
オンラインバンキング K BIZを口座開設と同時に申込可能 BIZ iBanking、iCash等を提供
権限管理 利用者・承認者等のサービス条件を確認 Super User、Maker、Approver、Viewer等を設定
申請上の注意 登記1か月未満の会社へ追加明細を案内 当座預金で取締役会議事録を案内

上表は銀行の優劣ではなく、公式サイトで公開されている条件の違いです。同じ銀行でも口座種類・付帯サービス・会社構成・申請支店で確認事項が変わります。Krungsriなど他行も含め、自社の入出金、海外送金、承認人数、会計連携、利用言語に合う候補を比較してください。

最低預入と手数料は別

「最低預入なし」は、オンラインバンキングや送金、トークン、証明書発行等の料金がすべて無料という意味ではありません。銀行の料金表、サービスパッケージ、キャンペーン期限、取引金額・チャネルを確認します。

法人口座の申請から利用開始までの6ステップ

  1. 口座の利用目的と権限を決める

    THB・外貨、普通・当座、給与、入金、国内外送金、支払作成者と承認者、1日上限を整理します。

  2. 銀行・支店へ事前確認する

    会社登記証明、株主・取締役、外国人署名者、登記日、事業内容を伝え、必要書類、来店者、原本・コピー、翻訳、予約の要否を確認します。

  3. 発行期限内の会社書類を取得する

    古い登記証明を流用せず、銀行が指定する期間内の書類を揃えます。会社印の署名条件と会議事録・委任状の文言も一致させます。

  4. 申請・本人確認・署名見本登録を行う

    銀行の指示に従い、対象者が本人確認を完了します。出金・支払の署名者は、会社を拘束する取締役と同じとは限りません。

  5. KYC・CDDの追加質問へ回答する

    資金源、主要取引先、売上見込み、送金先国、登記住所、実質株主等を説明します。追加書類が必要なら、内容を揃えて提出します。

  6. 口座とオンライン権限を検証する

    入金・送金・承認・明細取得、二要素認証、通知、日次上限、経理担当の閲覧権限を小額で確認します。

開設日数を固定しない

書類提出当日に利用開始できる場合もあれば、KYC、追加資料、オンラインサービス設定に日数がかかる場合もあります。Bangkok BankはBIZ iBankingについて、書類受理後の通知を7営業日以内の目安として案内し、地方支店ではさらに時間がかかる場合があるとしています。支払開始日から逆算してください。

オンラインバンキングと会計運用を同時に設計する

口座だけを開き、全員が同じ認証情報を共有する運用は避けます。送金を作る人と承認する人、残高だけを見る人、給与データを扱う人の権限を分け、退職・役員変更時の削除手順も決めます。

  • Maker・Approver・Viewer等の権限を職務に合わせて分ける
  • 1回・1日あたりの送金上限と複数承認条件を設定する
  • 会社の端末・電話番号・メールアドレスを適切に管理する
  • 月次明細を保存し、会計帳簿と照合する
  • 株主入金を資本金・株主借入・売上に正しく区分する
  • 海外送金は契約・請求書・源泉税・為替書類を確認する
  • 取締役・署名者・住所変更を銀行情報へ反映する

月次記帳、証憑、銀行照合はタイの会計事務所・経理代行ガイド、法人税と申告はタイ法人税ガイドで整理しています。

タイバーツ預金の保護

タイ預金保護機構(DPA)は、個人と法人のタイバーツ預金を、1預金者・1金融機関あたり合計100万THBまで保護すると案内しています。同じ銀行に複数口座があっても合算されます。外貨預金など対象外の預金は、DPAの最新条件を確認してください。

法人口座開設でよくある誤解と失敗

誤解 確認すべき実務
WPがあれば必ず開設できる WPは案件による資料の一つ。会社・関係者・事業・資金を含む銀行審査がある
WPがないと必ず開設できない 一律ではない。銀行・支店・口座・署名者の条件を事前確認する
取締役なら誰でも出金できる 銀行登録の署名条件とオンライン権限による
会社書類は登記時の一式でよい 発行期限、変更登記、最新株主名簿、追加KYC資料を確認する
国内送金はすべて無料 銀行、商品、チャネル、金額、パッケージ、キャンペーン期限で料金が変わる
最も有名な銀行を選べばよい 海外送金、承認フロー、給与、料金、言語、支店、会計運用で比較する
口座開設と同時に全機能を使える オンラインバンキング、トークン、利用者追加、海外送金等は別設定の場合がある

タイ法人口座開設でよくある質問

会社登記が終われば法人口座を開設できますか?

登記済み法人として申請できますが、開設は銀行のKYC・CDD審査によります。会社書類、関係者の本人確認、事業実態、資金源、取引目的等の確認を受けます。

外国人取締役にワークパーミットは必須ですか?

すべての銀行・口座で一律必須とは確認できません。銀行・支店・口座種類・付帯サービス・署名者の在留状況で追加書類が変わるため、パスポート情報と会社の署名条件を伝えて事前確認してください。

日本にいながら完全リモートで開設できますか?

一律には言えません。KBankには一定の署名権者がK PLUSで本人確認できる手順がありますが、出金・支払の署名権者は支店での本人確認と署名見本登録が必要とされています。自社の署名構成で確認してください。

法人口座の必要書類は何ですか?

最新の会社登記証明、事業目的、設立・変更登記書類、株主名簿、取締役会議事録、関係者の本人確認書類、必要時の委任状等が基本です。銀行は事業・資金源・住所等の追加資料を求めることがあります。

法人口座の開設費用はいくらですか?

口座種類と銀行で異なります。KBankの法人普通・当座預金は開設時最低額なし、Bangkok Bankの法人当座預金は最低20,000THBと案内されています。送金、オンラインサービス、証明書等の料金は別に確認してください。

口座開設は何日かかりますか?

全国共通の所要日数はありません。書類の完全性、会社の設立時期、関係者、KYC・追加資料、支店、オンラインサービスで変わります。支払開始日から逆算し、銀行へ目安を確認してください。

普通預金と当座預金のどちらを選べばよいですか?

日常の入出金・送金が中心なら普通預金、チェック利用等が必要なら当座預金を検討します。最低預入、利息、通帳・チェック、オンライン機能、手数料を銀行の商品説明で比較してください。

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一次情報・参考資料

本記事は一般的な情報整理を目的としており、銀行審査、法務、税務、投資、外国為替、資金移動に関する助言ではありません。口座開設の可否、必要書類、本人確認、最低預入、手数料、所要日数、オンライン機能、海外送金、預金保護は、銀行、支店、口座・サービス、会社・関係者、事業、取引内容、当局・銀行の運用で変わります。実際の申請・送金では、申請先銀行と関連当局の最新案内を優先してください。

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