タイで経理代行を外注すべき理由|費用相場・業務範囲・選び方を2026年最新で解説








タイの経理代行の費用相場・業務範囲・選び方を解説するイラスト

※ 本記事の日本円換算は1バーツ=約5円(2026年3月時点)で計算しています。為替レートにより変動します。

タイに法人を設立したら、翌月から税務申告が始まります。毎月のVAT申告、源泉徴収税の納付、社会保険の届出——日本とは制度もスケジュールも違うため、タイの経理実務に慣れた人材がいなければ回りません。

しかし進出初期にタイの税務に精通した経理スタッフを自社で雇うのは、コスト的にもリスク的にも現実的ではありません。だからこそ、タイに進出する企業の大半が経理代行(アカウンティング・アウトソース)を利用しています。

この記事では、実際にタイで会社を運営し経理を7年以上外注している立場から、なぜ外注すべきなのか、何を任せられるのか、費用はいくらかかるのか、どう選べばいいのかを、実務ベースで解説します。

この記事でわかること

・タイで経理を外注すべき3つの理由(+自社雇用との比較テーブル)
・経理代行で任せられる業務範囲の一覧
・費用相場と依頼先別の料金比較
・外注先を選ぶときのチェックポイント5つ
・いつから外注すべきか(タイミングの判断基準)
・2026年の最新事情(VAT電子申告・監査義務等)
・【実体験】7年間経理を外注してわかったこと

タイで経理代行を外注すべき3つの理由

① タイの法律で「経理担当者の配置」が義務

タイの会計法では、すべての企業に対し、一定の要件を満たした経理担当者の配置を義務付けています。その要件は「タイに居住していること」「十分なタイ語能力があること」「会計学の知識があること」の3つ。日本人駐在員では要件を満たせないため、タイ人の経理スタッフを雇うか、外部の会計事務所にアウトソースするかの二択です。

② 毎月の税務申告が多い

タイでは毎月、複数の税務申告を行う必要があります。主なものだけでも、VAT申告(ภ.พ.30)、個人所得税の源泉徴収(ภ.ง.ด.1)、法人間の源泉徴収(ภ.ง.ด.3 / ภ.ง.ด.53)、社会保険の届出など。日本のように年に数回ではなく、毎月コンスタントに申告業務が発生します。これを社内で回すには、タイの税法に精通した専任スタッフが必要です。

③ 自社で経理スタッフを雇うより安い

タイで経験のある経理スタッフを正社員で雇う場合、給与は月20,000〜40,000バーツ(約10〜20万円)+社会保険・福利厚生費がかかります。さらに退職リスク、引き継ぎリスク、管理コストも上乗せされます。

一方、経理代行なら月8,000バーツ〜(約4万円〜)から始められ、担当者の退職リスクもありません。進出初期は外注一択と言ってもいいでしょう。

自社雇用 vs 外注の比較

経理スタッフを雇用 経理代行に外注
月額コスト 20,000〜40,000THB+社保 8,000THB〜
退職リスク あり(引き継ぎ問題) なし(事務所が継続対応)
税務の専門性 人による 会計士が対応
管理の手間 大きい(労務管理含む) 小さい
日本語対応 日本語できるタイ人は高額 仲介型なら日本語OK

経理代行で外注できる業務範囲の一覧

「経理代行」と言っても、具体的に何を任せられるのかがわからないという方も多いと思います。一般的な経理代行サービスに含まれる業務を、月次と年次に分けて整理します。

📊 月次業務

・記帳・仕訳(領収書・請求書に基づく会計入力)
・VAT申告(ภ.พ.30 / 毎月15日まで)
・源泉徴収税申告(ภ.ง.ด.1 / ภ.ง.ด.3 / ภ.ง.ด.53)
・社会保険届出(入退社の届出含む)
・給与計算(含まれる場合と別料金の場合あり)
・月次財務諸表の作成(BS・PL)

📅 年次業務

・法人所得税の半期申告(ภ.ง.ด.51)
・法人所得税の年次申告(ภ.ง.ด.50)
・年次決算書の作成
・公認会計士による監査手配
・商務省への決算書提出
・個人所得税の確定申告(ภ.ง.ด.91 / 駐在員分)

タイではすべての法人(規模を問わず)に年次の会計監査が義務付けられています。日本では中小企業に監査義務はありませんが、タイでは公認会計士(CPA)による監査を受け、商務省に決算書を提出する必要があります。月次の記帳がきちんとできていないと、年次監査で指摘事項だらけになり、追加コストが発生します。

⚠ 給与計算は含まれる場合と別料金の場合がある
給与計算・社会保険手続きは、経理代行の基本料金に含まれている事務所と、別途オプション扱いの事務所があります。見積もり時に「給与計算は含まれますか?」と必ず確認しましょう。

タイの経理代行の費用相場【自社雇用 vs 外注の比較テーブル】

経理代行の費用は依頼先の種類によって2〜5倍の差があります。以下は月額の記帳・税務申告の費用相場です。

依頼先 月額目安(THB) 日本円換算 特徴
タイのローカル会計事務所 4,000〜8,000 約2〜4万円 最安。タイ語or英語。日本語対応なし。
日本語対応の仲介型サービス 8,000〜15,000 約4〜7.5万円 日本語窓口あり。実務はローカル事務所。コスパ良い。
バンコクの日系会計事務所 15,000〜40,000 約7.5〜20万円 日本人専門家在籍。連結対応可。中堅〜大企業向け。

上記に加えて、年次監査費用が6,000〜20,000バーツ(約3〜10万円)/年かかります。監査は経理代行とは別の公認会計士が行うため、経理代行の事務所が監査手配も含めて対応してくれるかどうかは確認が必要です。

月額費用は主に仕訳件数・従業員数・会社の規模で変動します。設立直後で取引が少なければ最低ラインの料金で収まることが多いです。

なぜ金額にこんなに幅があるのか?

日系事務所は日本人の公認会計士や税理士が在籍しており、その人件費が料金に反映されます。一方、ローカル事務所は人件費が安い分、日本語でのコミュニケーションができません。「日本語の窓口+実務はローカル事務所」という仲介型サービスなら、品質を保ちつつコストを抑えられます。

経理代行の依頼先を選ぶ5つのチェックポイント

① 日本語でやりとりできるか

月次の仕訳内容や税務申告の確認を、毎回英語やタイ語で行うのは想像以上に負荷がかかります。特に込み入った相談(税務署からの指摘への対応、法改正の影響など)は、日本語で相談できる窓口があるかどうかで安心感がまったく違います。

② 月次の申告スケジュールを管理してくれるか

外注先がリマインドしてくれないケースがあります。「いつまでに何の書類を出せばいいか」を明示し、リマインドしてくれる事務所を選びましょう。少なくとも、月次の申告スケジュール表を共有してくれるかどうかは確認すべきです。

③ 年次監査の手配まで含まれるか

月次の記帳だけでなく、年次決算・監査の手配・商務省への提出まで一貫して対応してもらえるかを確認。別途探す手間が省けます。

④ 税務署対応(有事の折衝)が可能か

タイの税務署から呼び出し(เชิญพบ)を受けることがあります。その際に代理で対応してくれるかどうかは重要です。料金に含まれている事務所と、別料金の事務所があります。

⑤ 会社設立・ビザとセットで依頼できるか

進出初期は会社設立・ビザ・経理の3つが同時に動きます。バラバラに依頼すると情報の引き継ぎに手間がかかるため、ワンストップで対応できる先を選ぶとスムーズです。設立費用の詳細は「タイで会社設立にかかる費用」もご覧ください。

経理代行はいつから外注すべきか?

結論から言うと、会社設立と同時に開始するのがベストです。理由は3つあります。

① 設立月から税務申告が始まる
タイでは会社登記の翌月からVAT申告・源泉徴収税の申告義務が発生します。「まだ売上がないから」と放置すると、ゼロ申告であっても未申告のペナルティ(罰金+延滞税)が課されます。

② 設立時の会計処理が後から面倒になる
設立時の資本金払込、初期費用の処理、タイ人株主への立替金処理など、最初の数ヶ月は特殊な仕訳が多いです。後から遡って処理するのは非常に手間がかかります。

③ 年次監査で困る
設立初年度から監査対象です。月次の記帳がされていないと、監査時にまとめて仕訳を起こすことになり、追加費用と時間がかかります。

「事業が軌道に乗ってから外注を考える」のではなく、設立と同時に経理代行を契約するのがタイでは常識です。会社設立を依頼する事務所に「経理も含めたパッケージはありますか?」と聞いてみてください。

2026年の最新事情【VAT電子申告・監査義務・法人税】

タイの経理・税務に関する制度も年々変化しています。2026年3月時点の最新情報を整理します。

① VAT申告の電子化が加速
歳入局(Revenue Department)のオンラインシステムでVAT申告・源泉税申告がオンラインで可能です。多くの会計事務所が電子申告に移行済みですが、古い事務所では紙ベースの対応が残っている場合も。依頼先が電子申告に対応しているかは確認しましょう。

② VAT税率7%の据え置き
タイのVATは法律上10%ですが、勅令により7%に据え置かれています。この据え置き措置は2026年9月30日まで延長されています。今後変更される可能性があるため、経理代行の事務所に最新情報を確認しましょう。

③ すべての法人に監査義務あり(変更なし)
タイではすべての法人(売上規模を問わず)に年次の会計監査が義務付けられています。この点は日本と大きく異なるポイントで、2026年も変更はありません。設立初年度から監査が必要です。

④ 法人税率は20%(中小企業は軽減税率あり)
タイの法人税率は原則20%。純利益300万バーツ以下の中小企業には軽減税率(0〜15%)が適用されます。詳しくは「タイの法人税・税金まるわかりガイド」をご覧ください。

【実体験】7年間経理を外注してわかったこと

筆者は2018年にタイ法人を設立して以来、バンコクのローカル会計事務所に経理を外注し続けています。7年以上使ってきたリアルな経験をお伝えします。

良かったこと:基本丸投げで問題なし

月次の税務申告、年次の監査、社会保険の届出——すべて会計事務所に任せて、7年間一度も大きなトラブルは起きていません。法律や税務で困ったことがあれば質問すれば英語で対応してもらえるので、日常的に経理のことで頭を悩ませることはありません。

注意点:リマインドは来ない

唯一の注意点は「リマインドが来ないこと」です。外注先から「そろそろ○○の期限ですよ」とは言ってくれません。申告期限を過ぎたペナルティは自社の責任なので、スケジュールは自分でも管理しています。

📌 自分でも管理しておくべき申告スケジュール

毎月7日まで:源泉徴収税の申告・納付(ภ.ง.ด.1 / ภ.ง.ด.3 / ภ.ง.ด.53)
毎月15日まで:VAT申告・納付(ภ.พ.30)
毎月15日まで:社会保険の届出
毎年8月末まで:法人所得税の半期申告(ภ.ง.ด.51)
毎年5月末まで:年次決算・法人所得税申告(ภ.ง.ด.50)+監査済み財務諸表の提出

言語の壁は覚悟しておく

ローカルの会計事務所は英語でやりとりできますが、細かい話や込み入った相談になるとタイ語が必要になる場面があります。税務署とのトラブルや法解釈の相談は、日本語で相談できる窓口があると安心です。

自社雇用を検討したが外注に戻した話

一度、自社で経理スタッフを雇うことを検討しました。しかし、タイ語と英語ができて経理の実務経験がある人材を採用しようとすると、月給30,000バーツ以上+社保+福利厚生で、外注の3〜4倍のコストに。さらに退職されたら引き継ぎが大変で、事業規模的にメリットがないと判断し、外注を継続しています。

💡 7年間外注して出た結論
「丸投げOK。ただしスケジュール管理は自分でも持つ。日本語でのサポートがあるとなお良し。」——これが実体験からの率直な結論です。

まとめ:タイの経理代行の費用と選び方

タイでは経理担当者の配置が法律で義務 → 進出初期は外注が現実的

月額費用:4,000〜40,000バーツ(約2〜20万円)
→ ローカル直が最安、日系事務所が最高。仲介型なら月8,000THB〜で日本語対応。

年次監査:6,000〜20,000バーツ(約3〜10万円)/年
→ タイでは全法人に監査義務あり。設立初年度から必要。

開始タイミング:会社設立と同時がベスト
→ 設立月から税務申告義務が発生するため。

選ぶポイント:日本語対応 / スケジュール管理 / 監査手配 / 税務署対応 / ワンストップ対応

実体験からの教訓:丸投げOK、ただし申告スケジュールは自分でも管理すべし

経理は地味ですが、タイで事業を継続するために欠かせないインフラです。設立時に「経理はどこに任せるか」をセットで決めておくと、進出後の立ち上がりがスムーズになります。

→ タイ進出の全体像を知りたい方は「タイ進出の準備やることリスト」もご覧ください。

📋 タイで会社設立にかかる費用(内訳と依頼先別の相場)
📋 タイのビザ・ワークパーミット取得ガイド(手続き・費用・必要書類)
📋 タイの法人税・税金まるわかりガイド(税率・計算方法・申告)
📋 バンコクのオフィス賃貸ガイド(エリア別相場・契約の注意点)

タイの経理代行、まずはご相談ください

海外窓口では、月次記帳から年次監査まで、日本語でワンストップ対応。
月額8,000バーツ〜(約4万円〜)でスタートできます。

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