タイの法人税・税金まるわかりガイド|税率・計算方法・申告スケジュールを2026年最新で解説

※ 本記事の日本円換算は1バーツ=約5円(2026年3月時点)で計算しています。為替レートにより変動します。
タイで会社を設立したら、次に気になるのが「どんな税金を、いくら払うのか」ですよね。
タイの法人税率は原則20%で、日本(実効税率約30%)と比べると低めです。ただし、法人税以外にもVAT(付加価値税)や源泉税、社会保険料など、把握しておくべき税金がいくつもあります。
この記事では、タイ進出を検討中の方・すでにタイで会社を運営中の方に向けて、法人税の税率・計算方法・申告スケジュールを中心に、タイの税金の全体像を2026年最新情報でまとめました。7年以上タイで法人を運営してきた経験も交えて解説します。
この記事でわかること
・タイの法人税率(20%)と中小企業の軽減税率
・法人税の計算方法と日本との違い
・申告スケジュール(年2回の申告と中間申告の注意点)
・法人税以外に知っておくべき税金一覧【テーブル】
・BOI認定による税制優遇
・タイと日本の法人税比較【テーブル】
・【実体験】タイの税務で気をつけるべきこと
タイの法人税率は原則20%|中小企業は軽減税率あり
タイの法人所得税(Corporate Income Tax: CIT)は、タイ国内で事業を行うすべての法人が対象です。株式会社だけでなく、外国企業の支店やパートナーシップ、ジョイントベンチャーも含まれます。
① 一般法人の税率:一律20%
2016年以降、タイの法人税率は恒久的に20%で固定されています。もともと30%だった税率が、国際競争力を高める目的で段階的に引き下げられた結果です。
② 中小企業(SME)の累進税率
払込資本金が500万バーツ以下、かつ年間収益が3,000万バーツ以下の法人は中小企業として累進課税が適用されます。
| 純利益 | 税率 |
|---|---|
| 30万バーツ以下 | 0%(免税) |
| 30万〜300万バーツ | 15% |
| 300万バーツ超 | 20% |
たとえば、純利益が400万バーツのSMEの場合、最初の30万バーツは免税、30万〜300万バーツに15%、300万バーツを超える100万バーツに20%が課税されます。税額は合計60万5,000バーツです。
タイで外国人が会社設立する場合、資本金は原則200万バーツ(外国人1名あたり)が必要です。日本人1名なら資本金200万バーツでSMEの条件(500万バーツ以下)を満たしますが、2名以上なら超える場合があります。資本金と年間収益の両方の条件を満たす必要がある点に注意してください。
タイの法人税の計算方法|日本と似ているが調整項目に注意
タイの法人税の計算式は、基本的に日本と同じ考え方です。
計算式
(会計上の収益)−(会計上の費用)±(税務調整)= 税務上の利益
税務上の利益 × 法人税率(20%)= 法人税額
ポイントは「税務調整」の部分です。タイにも日本と同様の加算・減算の調整項目がありますが、内容がやや異なります。
知っておきたい税務上のポイント
繰越欠損金は5年間:タイの歳入法では、繰越欠損金の繰越期間は5年です。日本の10年と比べると短いため、設立初期の赤字を計画的に活用する必要があります。BOIの奨励を受けている場合は、免税期間終了後からさらに5年間繰り越せます。
少額資産の特別ルールがない:日本のような少額資産の一括損金規定がないため、原則として1バーツ以上・1年以上使用する資産はすべて固定資産計上が必要です。ただし、実務上は社内基準(例:3,000〜5,000バーツ未満)を設けて一括損金処理しているケースが一般的です。
監査が全法人に義務:タイではすべての法人に対して公認会計士(CPA)による監査が義務づけられています。確定申告の際には監査済み財務諸表の添付が必要です。日本の中小企業のように監査なしで申告することはできません。
法人税の申告は年2回|中間申告の見積もりミスに注意
タイの法人税申告は、年に2回行います。
| 申告の種類 | 期限 | 内容 |
|---|---|---|
| 中間申告(PND 51) | 事業年度の6か月経過後、60日以内 | 年間推定課税所得の見積もりに基づき、半額を納付 |
| 確定申告(PND 50) | 事業年度末日から150日以内 | 確定額を申告・納付(監査済み財務諸表の添付が必要) |
中間申告時の推定課税所得が、確定申告時の実際の課税所得より25%以上下回っていると、不足税額の20%が追加徴収されます。後半に売上が急増するビジネスモデルの場合は特に注意が必要です。
なお、会社の設立初年度で事業年度が12か月未満の場合は、中間申告は不要です。
法人税以外に知っておくべきタイの税金一覧【テーブル】
タイで会社を運営する場合、法人税だけでなく以下の税金も発生します。
| 税金の種類 | 税率 | ポイント |
|---|---|---|
| VAT(付加価値税) | 7% | 日本の消費税に相当。本来10%だが2026年9月まで7%に据え置き。年間収益180万THB超の事業者は登録義務あり |
| 源泉徴収税(WHT) | 1〜15% | サービス料、家賃、利息、配当など支払い時に徴収。種類によって税率が異なる |
| 個人所得税 | 0〜35% | 累進税率。従業員の給与から源泉徴収し、会社が納付 |
| 社会保険料 | 会社5% / 従業員5% | 上限750バーツ/月(給与15,000バーツに対して) |
| 特定事業税 | 0.01〜3.3% | 金融・不動産など特定業種のみ対象 |
| 印紙税 | 契約種類により異なる | 賃貸契約・雇用契約などが対象 |
特に日常的に関わるのはVAT(7%)と源泉徴収税です。VATは毎月申告が必要(翌月15日まで)で、源泉徴収税も支払いが発生するたびに処理が必要です。こうした月次の税務処理を正確に行うため、タイでは経理代行(アウトソース)を活用するのが一般的です。
→ 経理代行のメリットや費用について詳しくは「タイで経理代行を外注すべき理由」で解説しています。
BOI認定で法人税が最大免除に|タイの投資優遇制度
タイ政府はBOI(Board of Investment=タイ投資委員会)を通じて、外国企業の投資を積極的に誘致しています。BOI認定を受けた企業は、法人税の大幅な減免を受けられるのが最大のメリットです。
BOIの主な恩典
法人税の免除:最大8年間(業種・条件により異なる)の法人税が全額免除または減額されます。
輸入関税の免除:機械設備や原材料の輸入関税が免除される場合があります。
外国人雇用の優遇:ワークパーミットの取得が簡素化されます。通常必要なタイ人4名の雇用条件が緩和されるケースもあります。
ただし、BOI認定は製造業やハイテク産業などが主な対象で、すべての業種が該当するわけではありません。飲食店やコンサルティングなど小規模なサービス業では、BOI認定が難しいケースもあります。
年間収益が300億バーツ(約7億5,000万ユーロ)以上の多国籍企業グループに対して、実効税率15%以上を義務づける国際ルールがタイでも2025年度から適用されています。対象となる大企業はBOIの優遇措置にも影響があるため、最新の動向をチェックしておきましょう。
タイと日本の法人税を比較【テーブル】
| 比較項目 | タイ | 日本 |
|---|---|---|
| 法人税率 | 20% | 23.2%(国税のみ) |
| 実効税率(目安) | 約20% | 約30%(法人税+地方税等) |
| 消費税 / VAT | 7%(2026年9月まで据え置き) | 10% |
| 監査義務 | 全法人に義務 | 大企業のみ義務 |
| 繰越欠損金 | 5年 | 10年 |
| 申告回数 | 年2回(中間+確定) | 年1回(中間予定納税あり) |
タイの法人税率20%は、ASEAN諸国の中でも比較的低い水準です。日本のように地方税が上乗せされるわけではないため、実効税率ベースで比較すると日本(約30%)との差は約10ポイントあります。
一方で、タイでは全法人に監査義務があること、繰越欠損金が5年と短いことなど、日本と異なる制約もあります。二重課税を避けるために日タイ租税条約が適用されるため、配当や利息の源泉税率にも注意が必要です。
【実体験】タイの税務で気をつけるべき3つのこと
タイで7年以上会社を運営してきた中で、税務に関して実感していることを3つ共有します。
① 経理は外注一択
タイの税務は、月次のVAT申告・源泉税処理・社会保険の納付など、毎月やることが多いです。自社でスタッフを雇う方法もありますが、コスト比較してみると外注の方が圧倒的にコスパが良いです。月次経理の外注費用は月8,000THB〜(約4万円〜)が相場で、経理スタッフの給与(月2〜4万バーツ+社会保険)と比べるとかなり割安です。詳しくは「タイで経理代行を外注すべき理由」で解説しています。
② スケジュール管理は自分でもやる
経理を外注していても、申告期限のリマインドが来るとは限りません。中間申告の期限を過ぎてペナルティが発生……ということを避けるために、申告スケジュールは自分でも把握しておくのがおすすめです。Googleカレンダーに毎月7日(源泉税)、15日(VAT・社保)、半期・年次の申告期限を入れておくだけでも全然違います。
③ 細かい税務調整は会計事務所にお任せ
交際費の損金不算入限度額や受取配当金の扱いなど、細かい税務調整はタイの歳入法に精通した現地の会計事務所に任せるのが安全です。日本の感覚で処理すると、後から税務調査で指摘されるリスクがあります。自分でやろうとせず、プロに任せましょう。
まとめ:タイの法人税・税金の全体像
法人税率は原則20%(中小企業は累進税率で軽減あり)
計算方法は日本と似ているが、繰越欠損金5年・全法人に監査義務など違いあり
申告は年2回(中間申告の見積もりミスでペナルティに注意)
VAT7%・源泉税・社会保険など法人税以外の税金も多い(毎月申告が必要)
BOI認定で最大8年間法人税免除の優遇制度がある
日本との実効税率差は約10ポイント(タイ約20% vs 日本約30%)
タイの税金は法人税だけ見ればシンプルですが、VAT・源泉税・社会保険などを含めた月次の運用が実際には大変です。税務処理を現地の会計事務所に任せつつ、全体像は自分でも把握しておくことが、タイでのスムーズな事業運営のカギになります。
→ タイ進出の全体像を知りたい方は「タイ進出の準備やることリスト」もご覧ください。
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